ニューハーフ物語
純一郎にとって、男子ばかりの学校というのは、ある意味、特殊な環境だったろう。

自分の中の『女』という性を 男子校に入ったことによって、皮肉にも引き出されることになったのだ。

中学生の時は、中性的なところが、逆に女子には、人気があった。

顔もまだ、少年のあどけなさを残していたし、精神的にも幼かった。


高校に入学した、正に、その当日、純一郎は、男子校に進学したことを後悔した。

この男臭い、特殊な環境の中で、果たして自分は、やっていけるのだろうか?

不安な気持ちが、自分の内なる底の底の方に眠っていた『性』を たたき起こしてしまったのだった。


「僕は、いゃ、あたしは、男なんかじゃない!女なんだ」



< 5 / 74 >

この作品をシェア

pagetop