君に逢えたら
「久しぶりだな。川島。」
元崎はゆきに手を差し出しながら言った。
相変わらずの優しい笑顔。
それを見ただけでゆきの胸は締め付けられるように苦しくなった。
手を掴むか迷っていると、元崎の方からゆきの腕を掴んで立たせてくれた。
「ありがと…」
その一言を発するのにさえ、校庭3周するかのごとくだった。
「大丈夫?怪我してんじゃない?」
「だ…大丈夫…!あの、ごめん。友達いるし、電車来るから…またね!」
恥ずかしすぎて一刻も早くこの場を去りたかった。
そう言ってゆきは小春の手を引き足早に去った。