君に逢えたら
しかし何か話そうと思えば思う程、ゆきは無口になってしまう。
そんな様子を知ってか知らずか、元崎は会話を進めていく。
「なぁ川島、覚えてる?体育祭の練習でさ、大縄跳びやったの。」
「あ、うん。あったね。」
「あん時もさ、川島派手に転んだよな」
からかい口調で元崎は言った。
「なっ!何よ急に!」
「縄に引っかかった勢いで顔面から行ったよな」
その光景を思い出したのか、元崎は笑い出した。
「もう!今更言わなくてもいいでしょー!」
ゆきは元崎の方を向いて、反論した。
思わず向いたそこには、優しい笑顔がった。
なんだか懐かしい。
こうして隣で話していると、中学に戻ったように感じる。
「やっとこっち見た。」
「へ?」
「俺と話してるとき、川島、全然俺の方見なかったからさ。」
「あ、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」
気にしてくれてたんだ。
だから急に縄跳びの話なんかしたのか。
相変わらずの元崎の優しさに触れるとゆきの胸はきゅうっと痛くなった。
「まぁ、俺と話すの気まずいか。」
「えっ」
「気にしてる?中学の時のこと。」