君に逢えたら
午後7時。

いつもならこの時間帯にはゆきは来る。

今日は遅くなるのか。

ゆきが来ないことを残念に思っている自分がいることを、

元崎はもちろん気づいている。

我ながら未練がましいな。

もう2年も前のことだ。

ゆきだってすっかり忘れているだろう。

元崎はそう思っていた。

しかし、ゆきは忘れていなかった。

それどころか、ずっと気にかけていたようだった。

ゆきと再会し、2年前の事を話題にしたのは、

ゆきのことを試したいような気持ちもあったのかもしれない。

昔、お前はこんな事をしたんだぞ。
俺は覚えているぞ。

そんなずるい自分が嫌になる。



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