君に逢えたら
この駅をゆきが利用していることも知っていた。
そのついでなら、聞きに来てくれるかもしれない。
そんな淡い願望から「お詫びに」という案を持ちかけたのだ。
案の定ゆきはすぐに了承した。
つくづく俺は最低だ。
考えているとどんどん落ち込んできた。
「今日は川島さん来ねぇな。」
隣に座っていた圭が言った。
「ここんとこ毎日来てたのになぁ。」
「ああ。そうだな。」
憎たらしいほど整った顔立ちだ。
元崎は隣の見慣れた顔を見ながら思った。
嫉妬するのも馬鹿らしくなる。