君に逢えたら
「無理です。」
即答だった。
「え?何で?」
「私、協力とか苦手だし。それに、他人が介入しても余計こじれますよ。
ゆきは元崎くんを好きだって認めないし。
傷つけたこと今だに気にしてるんですよ。」
「だから、元崎はもう気にしてないって一言言ってやってよ。」
「私が言ったって聞かないですよ。」
「強情だなぁ。春ちゃん」
「どうも。よく言われます。話はそれだけですか?」
「え?あぁ。」
「じゃあ失礼します。」
姿勢良くクルっと後ろを向いたかと思うと、
思い出したように圭の方を振り返った。
「高山です」
「へ?」
「苗字。
高山です。
勝手に名前で呼ばないでください」
それだけ言うとキビキビと帰っていった。