君に逢えたら

「あのさ、今までありがとな。」

「え?何が?」

「聞きに来てくれて。あれもういいから。」

「…もう、いいって…?」

「辞めるんだよ。路上ライブ。」

辞める…?

「でも、文化祭まで練習するって…」

確か文化祭は1ヶ月先だった。

「練習はするよ。ただ場所の確保ができたからさ。
わざわざ駅でやんなくても良くなったんだよ。」

「そっか。あっ、じゃあ教えてよ。その場所!練習見に行くから。」

「…何で?」

「何でって…。
ほら!
お詫びに聞きに行くって約束したじゃん!
乗りかかった船だし、最後まで練習付き合うよ!」

「お詫びか…」

呟いた元崎の顔は悲しそうに見えた。

どうしたんだろう…

「ごめん。川島。そうやって俺縛り付けてたんだよな。」

「え?」

「俺さ、川島の罪悪感を利用したんだ。」


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