君に逢えたら

待ち合わせのカフェが見えてきた。

オープンテラスになっているテーブルの一つにゆきは机に突っ伏して座っていた。

落ち込んでいることが丸出しである。

「ゆき。お待たせ」

軽く肩を叩き、小春は声をかけた。

「春ちゃん~」

ゆきは目を真っ赤に染めていた。

「どうしたの?」

注文を聞きに来た店員にオレンジジュースを頼み、
小春は聞いた。
先に飲み物を頼んでいたゆきは一口飲み、話し出した。

「私また怒らせちゃった…」

「何を?」

「元崎」

「ケンカしたの?」

「違う…もう聞きに来なくていいって…」

「路上ライブ?」

返事の代わりにゆきはこくりと頭を下げ、
何でだろうと小さく呟いた。

「それは、私がゆきのバイト先変わったの言ったからだろうね」

「…え?」

ゆきは思わず顔を上げた。

「言ったって春ちゃん元崎に会ったの?」

「昨日、駅でね。ゆきのこと聞かれたから、
バイト先変わったの言ったよ。」

淡々と小春は語る。

「何で!?」

憤ったゆきば思わず叫んだ。


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