君に逢えたら
「でもさ、わざわざ駅で練習しなくてもいいだろ?放課後学校でやればいいんだし、現にほかの奴らはそうしてる。」
言われてみれば。
じゃあ何で?
「川島さんに自分の存在に気づいてほしかったんだって。」
私に…?
「…何で…?」
「それは自分で考えてね。」
え…
「高山さんのいったことは正しいよ。昔何があったのかよく知らないけど、今は今だよ。過去のこと気にして元崎に遠慮する気持ちも分かるけど、それを理由に本心隠すのはずるいよ。」
「でも元崎の迷惑には…」
なりたくない。その言葉を最後まで言わせず、圭は言った。
「迷惑って一弥が言った?言ってないよね?気持ちってのは言葉にしなきゃ伝わらないよ。他人が何考えてるかなんて分かんないだろ。」
黙りこくったゆきを見て圭は続けた。
「元崎、今あの駅にいるはずだよ。」
それだけ言うと圭は去っていった。