君に逢えたら
第10章
「ねぇゆき。元崎どうなの?」
「え、どうって?」
「本当に好きになっちゃったりして。」
「ま、まさか!そんな訳ないじゃん。」
「本当にぃ?でも悪い気はしないんじゃないのぉ?」
「め、迷惑なだけだよ。あんなの。」
元崎が真実を知った時のカナコとゆきの会話だった。
教室の外から元崎はこの会話を聞いてしまった。
あぁそうか。
罰ゲームだったのか。
それを俺は本気にしたのか。なんてバカなんだ。
勘違いしてごめん。
この言葉は元崎のせめてもの強がりだった。
ここで怒ったりしたらよけい惨めだ。
ゆきは泣き出しそうな顔で元崎をただ見つめていた。
泣きたいのはこっちだよ。
このまま嫌いになれたら楽だったのに。
しかし、感情とはそう上手くコントロールできるものではなかった。