君に逢えたら
気分転換に街に出た元崎だったが知らず知らず、この駅に足が向いた。
思いだしたくもないのに、過去の出来事が昨日の事のように蘇る。
お詫びなら来なくていい。
随分自分勝手だ。
自らお詫びに聞きに来いといったくせに。
しかし、それがゆきを縛り付け無理をさせているのではないか、と思うと元崎はそのままにしておくことはできなかった。
何をやってるんだ。俺は。
ひとつため息をつき、元崎は空を見上げた。
眩しいくらいに太陽が輝いている。
お詫びをしてほしかった訳ではない。
ただ会う口実がほしかっただけだ。
ゆきにその気持ちは伝わらなかった。
いや、違う。
伝えることができなかったんだ。
元崎は思った。