君に逢えたら
元崎に会いたい。
その想いでゆきは走った。
熱い日差しが邪魔をする。
駅は目の前に迫っているにもかかわらず、信号は赤。
何でこんな時に!
立ち止まると体からいっきに汗が噴き出した。
焦る気持ちで信号を見つめる。
早く!
信号を見つめる目の端に、何かが見えた。
あっ
「元崎…」
いた。
元崎だ。
しかし元崎はゆきに気付くことなく、ゆきとは反対方向へ向かっていく。
信号が変わる気配はまだない。
どうしよう…
元崎…
「元崎!」
ゆきは力いっぱい叫んだ。
気づいて…!
その声に反応したのか、元崎は辺りをキョロキョロ見た。
「元崎ー!!」
ゆきはもう一度叫んだ。
今度は元崎も気づいた。
「川島!?」
信号が変わった。
青だ!