黒瀬学園
第1章

地味子


 黒瀬 莉子side

 「・・・せさん、ろせさん・・・。黒瀬さん!!」
 
 「はっはい~!!」

 しまった!知らんうちに寝てしまった!!ヤバイ!

 「前の問題を解いてきてくれるかしら?」

 う゛っ・・・、最悪。なんであたしなのさ~!!バレてないかと思ってた・・・。

 てか、これ難しいし!どうしよう。できるかな?

 「黒瀬さん?これくらい、できて当然よ?」

 くっ・・・悔しい~~!!なんで、クラスにまで、そんなこと言われなきゃなんないの 
 さっ!絶対に解いてやる!!見てろ、クソババァ!あたしを、ナメないでよ!!

 「できました」

 「え、1分も経ってないのに・・・。まぁ、いいわ。答えあわせをしましょうか」

 先生は、あたしがこの問題を解けていない、と思ってたのか、ニヤッと不気味に笑い、

 黒板まで歩いてくる。絶対合ってるはず!!・・・だもん。

 でも、間違ってたらどうしよう。

 「えっと、答えは間違ってま・・せん」

 「よかっ・・・」

 「「ええぇぇええ~~!!??」」

 言葉を遮られてしまった。

 が、ちゃんと解けてた!嬉しい~!!クラスのみんなも驚いてる!!最高!

 あっ、そういえばあたしの紹介、まだだったよね。

 あたしは、黒瀬学園の1年生。今年、入学したの。

 ぶ厚い眼鏡をかけ、髪の毛は耳の後ろで左右に三つ編みにして、スカートはひざ丈くら

 い。そう、結構な地味子なのです。

 これは、親からの言いつけで、こんな格好をしている。

 黒瀬学園は、あたしの親が学園長をしている高等学校みたいなもの。

 なんだけど、あたしがこの財閥の娘と知っている者は、数えられるくらいしかいない。

 それに、お嬢様なんて認識は、まったくない。

 それに、普通の女の子として育てられたから、親の力を借りて、

 物事に勝ったりしたことはない。

 「莉子~。さっきは最悪だったね。でも、うちは莉子の頭の良さを見せつけられて、

  すっごい嬉しい!」

 「いや、嬉しくないんだけどね。それに、あたしが頭良いなんて、絶対ない!」

 あたしが頭良いわけ、ないでしょ!?何言ってんの!!

 桜さん、あなた頭大丈夫?ちょっと、おかしくなってない?

 あ、紹介遅れてしまいました。さっき、話しかけてきたのは、鈴木 桜。

 あたしの小さいころからの、唯一の親友。

 目はクリクリでカワイくて、唇もキレイなピンク色、ブラウンのストレートヘアで、

 とても、顔立ちが整っていて、イヤミ~!!ってくらいの美少女!!

 学園内にファンクラブまであり、毎日告白をされているの。

 「莉子さぁ~、いい加減、その地味子やめたら?」

 「ん~・・・、やめたいのはあるけど、お父さん達がダメってうるさいんだもん」
 



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