月虹 Just the way you are
―――――――………
「…はぁ、はぁ、はぁ……」
大きく荒い息づかいが辺りに響く
コツッという音が、こちらに近づいてくる
そしてもう一度コツリと聞こえた音とともに、1つのチカチカと消えかかっている街灯が一瞬だけ、黒い靴を写し出した
「へっ、挟まれたな」
大きく鼻で笑うその男に、少し苛つきを感じるが、我慢する
薄々気づいてはいた
3人だったはずの彼らの足音が、1人のものになっていたことに
そうしていたら案の定、前から2人走ってきた
元々喧嘩をするつもりであったわけだから別にいい
ただもう少し広い場所を探していただけなのだから
挟まれては仕方がない
あたしは少し構えた