★ 理想のコイビト ★
「俺、繭にフラれるかも…。」



「はあ?」



「俺みたいな、オシャレでセンスの欠片もない彼氏なんて、そのうち…」



「あぁー!もうっ!!」



「ヒッ!」



突然、ガバッと立ち上がった恭一は、ガシッと俺の前髪を掴み上げると、マジマジと俺の顔を見つめてきた。



「えと、なに、か…」



「お前、今日もデートだったよな?」



「えっ、と…」



恐い。恐すぎる。が、答えなきゃもっと恐ろしいことが待っている。



「デート、だよな?」



「はっ、はい!」



瞬間、前髪からプチッと音がしたが、そんなのどうでもいい。コクコクと頷いた俺は、相変わらず恐い顔のままの恭一をチラリと遠慮がちに見た。

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