鎖~kusari~
「私の…名前が……なんで?」

「分かるわけ無い…あんな奴の考えることなんか…」

蓮くんが吐き捨てるように言った。

「…私は一体……」

遥二先生は穏やかな表情を浮かべた。

「あまり深く考えないで下さい。これから…少しずつ理解されればいいのです。貴女には一ノ瀬桜花学園の先生として……そして我々、一ノ瀬家の人間と少しずつ関わって行けば良いのです」

すくっと理事は立ち上がった。

「まっ、早く救って下さいとは言ってないからな……」

遥二先生はチラリと自分の腕時計を見た。

「話はここまでにしましょう。そろそろ職員達に貴女を紹介しなくては…」

複雑な表情をしている時雨くん達に遥二先生は教室に戻るよう指示を出し、私と遥二先生は職員室へと向かった。
私達がいなくなった理事長室で、春馬理事がネクタイを緩め大きくため息をついた。

「…雲雀…えりか…ね。本当に俺らを救い出せるのかよ……なぁ、当主さんよ……」




†††††††††††
第一章
「私のチカラ」終

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