とあるアイドルの恋愛事情 【短編集】
慌てて風呂場に駆け込んで俺の服を洗濯するために洗面所に待機する母親には目もくれず、服を全て脱ぎ捨ててシャワーの蛇口を全開に捻った。別に疚しいことは何も無いけど、女の匂いがするのは不味い。やっと幼馴染から彼氏に昇格して、ずっと手に入らなくてイライラしてたものが手に入ったのだから。


「あーもぉー!マジ最悪」


ここに来たということは、1度携帯にはコールしてるはず。いや、1度と言わず2・3度は必ず。

その時点でもう十分怪しんでいるというのに、俺ってば調子に乗って朝帰り。明日は仕事だっつってたから、まさか理美が家に来るなんて思ってもみなかった。誤算だよ、ホント。何て言い訳しよっかなぁ…なんて思いながら風呂場を出て、女の匂いがまだ残っていないか入念にチェックした。
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