とあるアイドルの恋愛事情 【短編集】
鳴らない携帯をじっと見つめながらため息をつくあたしの横で、あたしから奪い取ったイヤホンを耳に当てて妹の彼氏が熟睡している。
授業中には絶対必要無い物なのだけれど、強引に奪い取られればいくら温厚なあたしでも腹立たしいというもので。
皆には「とわわ」なんて呼ばれて可愛さを売りに商売をしているらしいけれど、その可愛さを武器に結構強引なところもある。
まぁ、怒る間も無く右隣のコイツは睡眠体勢に入ってしまったものだから、文句の一つも言えなかったのだけれど。
「あんた…何しに学校来てんのよ」
此処へ来ること自体稀だというのに、眠りこけていては来た意味も何もあったものじゃない。家で眠る時間も無いのだろうか。と、鬱陶しそうに顔に掛かる前髪を掻き分けてやったのがそもそもの間違い。
「きゃぁぁぁぁ!」
授業中には相応しくない大音量で、最後列に陣取っていた女の子達の悲鳴が鳴り響いた。それでビクリと目覚めた主悪の根源はゴシゴシと目を擦り、寝ぼけ眼であたしの顔を見上げている。
「なにー?何があったの?」
「いや…別に」
最後列から浴びせられる罵声に永久(とわ)は眉を顰め、イヤホンを漸く耳から離した。主悪の根源はあたしか。教授も迷惑そうにゴホンと咳払いをしている。ホントすいません。ごめんなさい。
「何?優奈…俺に何かしたの?」
「特に何も。強いて言うなら前髪が鬱陶しそうだったから避けてあげたくらい」
「それで…ね」
「すいませんね、お疲れのところ。出るわ、あたし」
「あっ、待って。俺も行く」
ホント、何しに学校に来てんだよ?君は。
時々、コイツはあたしの弟なんじゃないかと本気で思ってしまう。何でこうあたしの後ろをどこでもくっついて来たがるんだろう。
男って生き物はよくわからない。
「カフェ行かね?俺まだ眠い」
「眠いなら家帰れば良いのに」
「イヤ、それは無理。家じゃ煩くて眠れねぇし」
長い前髪を掻き分けながら、美少年が大きな欠伸を1つ。
これだけで絵になるのだから、女としては少し悔しい。こんな奴が彼氏だから、あたしの妹もお洒落に手を抜かないのもわかる気がする。大いに納得だ。
授業中には絶対必要無い物なのだけれど、強引に奪い取られればいくら温厚なあたしでも腹立たしいというもので。
皆には「とわわ」なんて呼ばれて可愛さを売りに商売をしているらしいけれど、その可愛さを武器に結構強引なところもある。
まぁ、怒る間も無く右隣のコイツは睡眠体勢に入ってしまったものだから、文句の一つも言えなかったのだけれど。
「あんた…何しに学校来てんのよ」
此処へ来ること自体稀だというのに、眠りこけていては来た意味も何もあったものじゃない。家で眠る時間も無いのだろうか。と、鬱陶しそうに顔に掛かる前髪を掻き分けてやったのがそもそもの間違い。
「きゃぁぁぁぁ!」
授業中には相応しくない大音量で、最後列に陣取っていた女の子達の悲鳴が鳴り響いた。それでビクリと目覚めた主悪の根源はゴシゴシと目を擦り、寝ぼけ眼であたしの顔を見上げている。
「なにー?何があったの?」
「いや…別に」
最後列から浴びせられる罵声に永久(とわ)は眉を顰め、イヤホンを漸く耳から離した。主悪の根源はあたしか。教授も迷惑そうにゴホンと咳払いをしている。ホントすいません。ごめんなさい。
「何?優奈…俺に何かしたの?」
「特に何も。強いて言うなら前髪が鬱陶しそうだったから避けてあげたくらい」
「それで…ね」
「すいませんね、お疲れのところ。出るわ、あたし」
「あっ、待って。俺も行く」
ホント、何しに学校に来てんだよ?君は。
時々、コイツはあたしの弟なんじゃないかと本気で思ってしまう。何でこうあたしの後ろをどこでもくっついて来たがるんだろう。
男って生き物はよくわからない。
「カフェ行かね?俺まだ眠い」
「眠いなら家帰れば良いのに」
「イヤ、それは無理。家じゃ煩くて眠れねぇし」
長い前髪を掻き分けながら、美少年が大きな欠伸を1つ。
これだけで絵になるのだから、女としては少し悔しい。こんな奴が彼氏だから、あたしの妹もお洒落に手を抜かないのもわかる気がする。大いに納得だ。