とあるアイドルの恋愛事情 【短編集】
「マキ君、何笑ってんの?」
「この女、サキのコト狙ってるって言ってたケド?」
「あぁ、うん」
「気になんないの?」
「何で気にする必要があるの?」

バカなのか?この女は。イヤ、知ってたケド。優奈がバカな男にホレ込んでる大バカだっつーのは知ってたケド、まさか目の当たりにしてまでこうとは。

「サキもまんざらでも無いみてぇだケド?」
「うんうん!今日は珍しくサキが誘ってくれたのよ」
「そうなんですか。和也?」
「イヤ…確かに誘ったケド…」
「けど?」
「浮気とかそうゆぅんじゃなくて…それは違うくて…」
「そう。なら別に良いよ。友達だって言ってたもんね」

いたよ、ココに。
サキの都合の良い「理想の女」を地でやってる女がっ!

普通ならありえねぇ話なんだケド、相手がコイツなら俺も納得がいく。三村優奈なら納得だ。

「そんな離れたとこに座ってないで、こっちに来て一緒に飲めば?」
「あぁ…うん」
「何?」
「疑ったりしねぇの?」
「はい?何言ってんの?疑われるようなことしてんの?」
「イヤ、それはナイ!マジでナイから信じて!」
「なら良いじゃない。一緒に飲もうよ。あっ!でも和也は未成年だからジュースだよ?」
「…デスネ」

今までガマンしてたマキも、さすがにコレには噴出しちまって。俺も笑うしかねぇ状況に一緒になって笑ってた。

そう、コレが俺の4年越しの想い人。そん時付き合ってた妹の方じゃなくて、和也バカ丸出しのネーチャンの方ね。


そんな、とあるアイドルである俺の片想い事情。
< 23 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop