とあるアイドルの恋愛事情 【短編集】
「あの…三上君」
タラタラと中庭を歩くあたし達の後ろで、少し控えめな大きさだけれどよく通る高い声が聞こえた。振り返ったのは名前を呼ばれた本人ではなく、振り向きさえされない事を可哀想だと思ってしまったあたし。
そのことが気に入らなかったのか、その女の子はしかめっ面をしながらもしっかりと目的の人物のシャツの裾を掴んでいた。
「三上君」
「えっ?何?」
「もしかしてあんた…」
聞いてなかったのかよっ!このコノヤロー!
そんな暴言はグッと心の中で抑えて、代わりに深いため息を1つ。
「何?ってかアンタ誰?」
「同じ中学だったんだけど…覚えて…ないよね?」
「うん。全然」
「…だよね」
残念!って顔に書いてあります、この人。きっと「もしかしたら…」とか思ってたんだろうけど。どうでも良いけどメイク濃過ぎじゃない?と、ノーメイクが基本のあたしはそう思いました。
「えっと…私ね、三上君のファンなの」
「あっそう。ありがとう」
「頑張ってね、応援してるから」
「どうも」
面倒くさそうに答えただけで直ぐにそっぽを向いてしまった永久を、今更ながら本当に冷たい奴だと実感した。いや、実は知っていたんだけどね。気付かないフリしてただけで。
タラタラと中庭を歩くあたし達の後ろで、少し控えめな大きさだけれどよく通る高い声が聞こえた。振り返ったのは名前を呼ばれた本人ではなく、振り向きさえされない事を可哀想だと思ってしまったあたし。
そのことが気に入らなかったのか、その女の子はしかめっ面をしながらもしっかりと目的の人物のシャツの裾を掴んでいた。
「三上君」
「えっ?何?」
「もしかしてあんた…」
聞いてなかったのかよっ!このコノヤロー!
そんな暴言はグッと心の中で抑えて、代わりに深いため息を1つ。
「何?ってかアンタ誰?」
「同じ中学だったんだけど…覚えて…ないよね?」
「うん。全然」
「…だよね」
残念!って顔に書いてあります、この人。きっと「もしかしたら…」とか思ってたんだろうけど。どうでも良いけどメイク濃過ぎじゃない?と、ノーメイクが基本のあたしはそう思いました。
「えっと…私ね、三上君のファンなの」
「あっそう。ありがとう」
「頑張ってね、応援してるから」
「どうも」
面倒くさそうに答えただけで直ぐにそっぽを向いてしまった永久を、今更ながら本当に冷たい奴だと実感した。いや、実は知っていたんだけどね。気付かないフリしてただけで。