太陽がくれた時間
琴美はぼんやりと意識を取り戻した。
暗く、彼方では光が揺れていた。
時間や距離の感覚は麻痺していた。

光が段々と近くに感じた時、優しい声が聞こえた。

『あなたは、人間として生まれて、その尊い命を自ら絶った。
とても大きな罪を犯したのだ、魂の洗濯が必要のようだ。』

琴美は何がなんだか解らなかったが、自分の身体が無くなっていること
にはすぐに気がついた。

『えっ!!死んだの!ここは天国なの地獄なの?』
琴美は、光に向かって尋ねた。
混乱している琴美の魂に、太陽は優しく声をかけた。

『神様、天国、地獄これらは人間が勝手に想像して作ったもの。
地球上の、植物、動物、そして一番優秀な生物、人間
これらすべては私が生産、再生しているんだ。』

『もう人間として生まれかわるのは嫌かね?』

琴美は少し考えて答えた。

『もし生まれ変われるなら、動物に生まれ変わりたい。小さくて可愛い動物。』
返事は無く、光は一層強く輝いた。

太陽は琴美に新しい生命を与えた
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