太陽がくれた時間
再生
研究所の窓から優しい光が射し込んだ。
プラスティックケースの中、新しい生命が誕生した。
琴美はハツカネズミに生まれ変わった。
体中真っ白な毛におおわれた自分の姿が
プラスチックケースに映っていた。
これが、これからの私なんだ。
ここは何処なんだろう?なんか病院みたい。
けど、ここなら、猫や犬に食べられてしまう危険は
なさそうで良かった。
戸惑いながらも願いが叶ったことに少し満足した。

ドアが開き白衣を着た男が部屋に入って来た。
生まれたばかりの他の仲間達と一緒に、別のケースに丁寧に移された。
こうして琴美の新しい生活が始まった。
プラスティックケースの中、共に生まれた
仲間のネズミたちと、はしゃぎまわった。
小学校の時の体育の授業のように。

研究員たちが、とても丁寧な扱いをしたため
ねずみの生活にも段々と慣れていった。
仲間達とも、うまくコミュニケーションがとれて、満足な日々が続いた。
ある時、研究員がビニール手袋をつけて仲間を数匹連れていった。
『何処へいったんだろう?』

夜になっても仲間は戻ってこなかった。
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