TIME WAR
隣の渉君は唇をかみしめていたせいで血が流れていた。


道を歩いてた人達が足を止めて野次馬になる


早く……救急車……


大人達の言い争いが聞こえる。運転手の男が頭を抱えていた


渉君はぴくりとも動かずに横たわっている信平をみている


救急車の赤い光が遠くに見える。歩君は遠い目をして二人をみていた


「どいてくださいっ!」

野次馬を掻き分けて救急隊の人が駆けつける
手際よく信平を載せてうるさい音をならしていた

「渉……お前のせいだっ!お前が……もう俺は渉を兄弟なんて思わないから」


二人が流してる涙には同じ感情がこもってるんだろうか


歩君は渉君を置いてどこかに向かって歩き出した

「チャコ……ちょっと離れていいかな」


傘で顔を隠して訊ねた渉君は泣いてる気がした。たくさん後悔してるんだ

力強く抱きしめてくれた腕だけど


今は小さく震えていた。どんなに大きな後悔を背負ってるんだろう


私は……


「飲み物、飲みに行こうちゃんと協力するから」

「ありがとう」


歩き出した渉君の後ろを歩く。小さな背中はどんどん頼りなく見えた


誰もいない公園、小さなスコップが置き去りにされて泣いていた


「はい飲み物」


私はベンチに座って遠くを見つめている渉君にジュースを手渡した。


最近、渉君の笑顔を見てない気がする


泣きそうな顔や切ない顔が多い


プシュッと音を立てて開けられたジュース


「ありがと……」


私も渉君にならってジュースを開けた。


「協力してほしいことって、事故に合わないようにしてほしいんだよね」

「うん」


「でも……どうやって忠告するの?」


こくっと静かに飲んだ音が聞こえる。いつの間にか日が顔をのぞかせていた


「ここにいる自分はチャコとは仲良くなかったからきっと兄ちゃんも歩も知らない人だろ?」


「確かに、まぁこの過去(とき)に渉君が居たら二人になるもんね」


だから、接点を持って忠告してほしいと言われた

雨が上がった。
それは私と渉君の気持ちが目的を達成することに近づいてるように


雨が上がった。


「チャコ……お願い」


「なに……?」


私わ持っていたジュース缶をクルクル回す。
今はジュース缶の冷たさが気持ちいい


渉君は私を真っすぐみていた。
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