TIME WAR
少しの時間、私と渉君は見つめ合う。渉君は強いまなざしだった


「無理だけはやめてくれよ?俺のせいでまた……何てもう無理だ。俺にはそこまで背おえ--」


「大丈夫。あわないからきっと忠告してみせるから心配しないで」


私はごくっ!と残りのジュースを一気にのんでゴミ箱にぶん投げた


ガコンッと間抜けな音がした


「入んなかった」


隣でジュースを握って振りかぶってる渉君が居た。腕が音を鳴らす


手から離れたジュース缶は勢いよくゴミ箱の口に食べられた


「おぉっ!すご……」


私はポカッと口が開く。
渉君は、ふっはっと笑う渉君はやっぱり笑顔じゃないといけない気がした

間抜けな音を鳴らして落ちていったジュース缶を拾って私たちは時計の針を2010年8月26日に戻した


「……あっつ」


カラカラに乾いてる道で乾きかけの少し濡れた傘を持っている不思議な私たちがいた


「明日頑張ってみるから」


そうつぶやいた私にうんといって渉君と私は別れた


私は学校の2階準備室に向かう。
信平……いるかな


冷たい空気が流れる部屋の前、私は立ち止まってドアノブに力を入れた


ガチャンと小さな音が廊下に響く


「失礼しま~す……」


やっぱり入った瞬間って見えないんだ

小さな部屋の窓際の椅子。信平が座って居たところに腰かける。少し靴がすり減っていた


「ちやこ……」


声にはっと顔を上げる
目の前に信平が立っていた

「信平……って幽霊ではないよね、死んでないし」


「あぁ……生き霊だよ」

生き霊か……なら納得。椅子に座った私を見下ろしていた


いつかの時と同じように対面していた
唯一違うのは座ってること


「渉君がさ……、」


渉君の切ない背中を思い出して顔を俯かせてしまう


「渉は、責任感が強くて優しいから」


「うん……。降ってた雨に溶けて流れていきそうだった」


ずっと、冷たい瞳。
いつになったら信平の瞳には光が灯るんだろ


「……俺が壊したよな」

「違う。信平は、助けたじゃん」

「でも……」


「大丈夫。私が何とかするよ?何とかしたい」


何か……
私一回、渉君に助けてもらったし


「じゃあ、起きたら……友達になってな?ていうか渉をよろしく、歩は手強いから頑張れ」

「よろしくって」


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