TIME WAR







私は混乱する頭で信平に近寄った


「死んだわけないじゃんっていって!!私まだちゃんと笑わせてない」


病室で大きな声を出した

今はこんな非常識なこと許して


お願いだから


「戻ってきてよっ!」


「チャコッ落ち着け」


なんで渉君はそんなに落ち着いてるの?
歩君はなんでそんなに静かに見つめてるの



その二人が現実を私に突きつけて……


ピッピッピッ
電子音が耳を刺激した


「信平?」


「兄ちゃんっ!?」
「兄貴っ!戻ってこいよ今日、20の誕生日だろ?」


20の誕生日だったんだ
生まれた日に死ぬのはもっともっともっと後にしてよ


「信平死んだわけないじゃんっていって」


この声は届かないの?
私は目を伏せた。


時の戦いに負けたのかな


小さな小さな音が私の耳に入り込む


「死んだわけないじゃん……ちゃんと生きてる」

ばっと顔を上げた。
信平が目を開けて横目でこっちを見ていた


「ア……ホ……」


はぁあっ
私は安堵の溜め息をついた


「渉、先生呼んでくる」


「あ、うん」


長かったな。
長すぎだ。私の手に少し冷たい信平の手が触れた

暖かくなってきた


「起きたって!?奇跡としか言いようがないよ」


全てが奇跡だったのかもしれない。
2階準備室で信平にあったのも


時計を拾ったのも


現在(いま)と過去を行き来できたのも奇跡だったのかもしれないけど


私にとっては全てが必然だった


あの夏の奇跡は誰が何と言おうが きっと必然だった
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