TIME WAR

それから、信平はお医者さんが驚くほどみるみる良くなった


「こんにちは」


「ちやこ、いつもこなくてもいいんだよ」



「笑顔見るまでかようから」


目を覚ましてからも笑顔はあんまり多くなかった

「笑ってない俺?」


「兄貴は笑ってないね」

「歩には聞いてない」


むーっとする顔も最近みる。渉君と歩君の仲はいつの間にか普通に戻ってた


信平が目を覚ましたからかな
そーいえば


「あの日、どこ行こうとしてたの?」


「あぁ、デートコースの下見」


「ちょっ!渉っ」


デートコースの下見って 歩君も可愛いとこあるんだね


私はどこにでもあるような兄弟ケンカを笑いながら見ていた




ちょいちょいっと
言い合ってる渉君と歩君をよそに私に向かって手を動かした


「なに?」


「耳貸して」


私は言われるがままに髪の毛を耳にかけて信平の行動を待った


耳に落ちてきた言葉は


「全部覚えてるよ。あのキスもね」


ちょっ!
何でそんなこと今言うかなぁ


私は気にしないようにしてたのに


クスクス耳元で聞こえた ばっと信平を見る


「もぉー何で今更」


「チャコ何したの?」


言えない
あんなこと言われてこんな顔をしてるなんて絶対いえない


「ふぅ~ん」


歩君はニヤニヤしていた 何で歩君って 人の変化に敏感なの


こんなときまで敏感にならなくてもいいのに


私の焦る様子を信平は楽しそうに笑いながらみていた



信平の笑顔って……心が掴まれる
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