TIME WAR
バサバサと紙が頭の上に降ってきた。振り返ると後ろにはたくさんの資料が置かれた本棚が立っていた。


何だ本棚かぁー……
ってそうじゃなくて!
私は男の子に視線を戻した


「幽霊?」


肌の白い男の子は表情を一つも変えず私をじっとみる


「幽霊」


え……
ホントに幽霊だったんだ何か確信に近づいたら怖くなってきた


さっきよりも部屋の空気が冷たく感じる。
ぷるぷると震える自分の右手をつかむ


「なんて嘘だけど」


は?
相変わらず無表情のまま 私をじっと見ていた。
冷たい瞳は少し悲しく見える


「何で嘘つくのよ!怖かったんだから」


右手の震えは止まっていた。というよりも私が止めたというのが正しいか

「嘘つきな俺はまた嘘ついてるだけかもよ」


それは……やっぱり幽霊って事?私はきっとサーっと血の気が引いて顔が青くなっているだろう


「お前、見てんの楽しいなコロコロ顔変わって」

全然楽しくなさそうな顔で言われても説得力がない


「楽しいなら笑えば?」
そうだ楽しいなら笑えばいい。無表情なんてもったいない


この言葉に男の子の冷たい瞳はさらに色を深くした


「笑えるならな」


笑えるならな?
意味がわからない。笑いたいなら笑えばいいじゃない


話しているうちに恐怖心は消えていったから窓際に座る男の子に近づいた

「名前なに」


「唐突に何だよ」


笑えないなら私が笑わせよう。名前を聞かなければきっと笑えない原因すら教えてくれなそうだ


「永田信平(ナガタ シンペイ)」


信平は興味なさそうに椅子をギイギイ鳴らした
永田信平……


「元、生徒会長?」


永田信平の名前には聞き覚えがあった。
私が入学した頃の生徒会長


もう卒業してるはずなのにもしかして留年?


「まぁな、……もしかして失礼なこと考えてる?留年とかじゃねーよ」


なら何でここにいるんだろうか?
信平は私を相変わらずじっと見ていた


「じゃあ、死んだ?」


「何で」


だって死んでないとこんなクソ暑いのに学ランを着てて汗かかかないなんて説明できない


「だってまた嘘ついてるだけかもしんないんでしょ?笑えない原因もそこにあるとか」


きっとそうだと思う。何らかの原因で笑えなくなって未練たらたらでこの世にすがりついてるんだ

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