その道が消える前に

条件

志乃の父、正明は北海道へ行くことを許す代わりに、条件は3つだした。

その一つは、自分の経営するホテルに宿泊すること
そしてもう一つは、必ず毎日連絡をすること
最後の一つは聡に許しをもらうこと・・・


聡は、志乃の幼なじみの青年だった
聡は志乃よりも4つ上で家柄も良く、育ちもいい聡はウィーンにピアノ留学をすると
実力を認められ、地位と名声を若くして持っていた

正明は、志乃が大学を卒業したあとにすぐにでも結婚させたいと強く願っている
そして、何より聡が志乃をとても大切な女性として扱っていることを知っていた

「聡君にどうして許してもらわなければいけないの?」

「何言ってるんだ、近い将来結婚する相手だぞ」

正明は当たり前のように志乃に言った

志乃にとって聡は尊敬すべき兄のような存在だった
整った顔立ちに、高校に迎えにくる度に、まわりの友達は志乃を羨ましがった

「聡君とはそんなんじゃ・・・」


「とにかく条件がのめないならばだめだ・・・」


志乃は疑問を感じながらもゆっくりとうなずいた
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