その道が消える前に
すれ違う2人
trrrrrrrrrrr trrrrrrrrrrrr
志乃は聡に電話をかけた
心のどこかで、でないでほしいと願った
聡の存在は志乃にとって兄のような、頼れる大切な人であった
けれど、聡と人生を共にすることは、敷き詰められたレールの上をまっすぐ歩いていく
・・・そんな気がしていた
trrrrrrrrrr trrrrrrrrrr
志乃はうつむき、コールを切ろうとした瞬間・・・
目の前に、青いシーサーのストラップが落ちる
ふと、志乃が顔を見上げる志乃
その瞬間白い厨房服を着た草太とすれ違う
「あっあの!?」
草太は志乃の声に気がつかず、そのまま歩いていく
「あ!あのっつ!」
志乃が草太を追いかけようとしたその瞬間
電話口から聞こえる聡の声
「もしもし?志乃?」
「あっ!・・・聡君・・・」
志乃は聡の電話にでると・・・遠ざかる草太の後ろ姿を見つめる・・・
そしてじゅうたんの上に転がるシーサーのストラップを拾った・・・
これが・・・はじめて草太と志乃が出会う瞬間だった