Rain or shine ~ 秘密の恋のはじまり ~ (完)
―――――雨は、やむ気配はない。
ザー…
『………ごめんな』
ふと思い出す、その言葉。
ついさっき、好きな人に言われた言葉だ。
好きな人…彼方(かなた)とは、小学校に入った頃からの友達で。
私はずっと彼方のことを好きだった。
中学2年が終わる今まで。
1ヶ月前、私は引っ越すことが決まって…
3年生に上がるのと同時に、遠くへ行くことになった。
このまま別れるのは嫌で、彼方に告白した。
…告白する前から返事はわかってたけど。
彼方にもずっと好きな子がいることを知ってたから。
悲しいけど、それは私じゃなくて、違う子。
案の定、返事は『ごめん』の一言だった。
でも、最後のわがままを彼方に言った。
引っ越すまでの1ヶ月だけでいいから、付き合って…って。
最初はもちろん、そんなことはできない、って言われたけど…
私の粘り勝ち。
彼方の1ヶ月間を手に入れた。