Rain or shine ~ 秘密の恋のはじまり ~ (完)
 

彼方は律儀で。


デートには付き合ってくれても、触れてくれることはなかった。


…手を繋ぐことさえも。


だからと言って、突き放されるわけじゃない。


……そういう筋が通ってるところが大好きだった。


そして、今日。


中学2年最後の終業式の後。


彼方に呼び出されて、『やっぱり恋愛対象には見れない』って言われた。


彼方の気持ちが変わらないことも、わかってたよ?


彼方を見てればわかる。


あの子を見る目はいつも優しいから。


それだけあの子のことが好きなんだよね。


…本当は、あの子も彼方のことを好きなことも、私は知ってた。


二人はお互いに想い合ってる。


だけど、私は彼方と付き合ってる、ってあの子に言ったんだ。


ちょっとした悔しさからだった。


だからあの子は今も私と彼方が付き合ってるって思ってる。


………でも、撤回なんてしない。


本当は私と彼方の間には何もないこと、教えてあげないから。


私は…何も言わずにここを去るの。


それくらい意地悪させて。

 
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