Rain or shine ~ 秘密の恋のはじまり ~ (完)
…あ、ヤバい。
思い出したら、また涙出てきちゃったな…。
でも、大丈夫。
この涙には誰も気付かないはず。
「………雨、止まないね」
横で一緒に雨宿りしていたその人…彼がぽつりと呟いたのが耳に入ってくる。
彼はいつの間にか、空から私に目線を移していた。
「…そう、ですね」
私は彼から目線を反らすようにして、空を見上げる。
なかなかやまない雨。
「…そっちじゃなくて。君から降る雨だよ」
「!」
私はその言葉に驚いて、彼に顔を向けた。
彼は私の顔をじっと見つめていた。
私の心を見通されてしまいそうな、目。
………気付かれてる。
雨で隠しているつもりだった、私の涙に。