Rain or shine ~ 秘密の恋のはじまり ~ (完)
「えっと…気にしないでください…」
濡れてしまっていて意味をなさないハンカチで、私は目頭を拭った。
そして、笑顔を作って、彼に向ける。
私は大丈夫です、って。
だけど、彼から飛び出してきた言葉は…
「無理して笑わなくていいんだよ?……もし、君さえ良ければ…それで君の心が晴れるなら…話を聞かせてくれない?」
「え?」
「…通りすがりのお兄さんに辛いことぜーんぶ話して、スッキリしてみない?もちろん、口外はしないから」
ニッと彼が笑った。
何でだろう?
たった5分前に出逢ったばかりの人なのに…
彼の言葉を信用できる気がした。
無理して笑わなくてもいい。
その言葉だけでも救われるけど、話を聞いてもらえれば、もっと。
……私はコクンと頷いた。