紅い血-Red blood-
「....さい」
「...ください」
誰の声でしょうか。
マリア様ではない事はわかっている。
わたくしがマリア様のお声を間違えるはずがないですもの。
...だとするのならば....誰?
「起きてください」
朝からマリア様以外のお声なんて聞きたくもないのに。
わたくしはしょうがなく目を開けた。
「...誰....ですの..?」
開いた目の先にいたのは綺麗だけど無表情なメイドだった。
漆黒の髪に闇の様な紺色の瞳。
闇の様な瞳はわたくしを映しているようで、映していない。
闇の様な瞳の先に広がるのはただの闇。
そんなイメージを持たせるメイドだった。