紅い血-Red blood-
暫くの間、目の前にいる男の言っている言葉の意味が理解出来なかったんですの。
「よろしいのですか?蓮様」
メイドの言いたい事はよく分かりますわ。
この男は、記憶のない、見ず知らずの人を家にいさせると言ったのですもの。
メイドが心配するのも分かりますわ。
「良いも何も、こいつらには変える場所が無いんだろ。
だったらしょうがないだろ」
「しかし、この方達は.....」
「何処の誰とも分からないって、言いたいのか?」
「恐れながら.....」
「まあ、少なくとも、こいつの主に対する忠誠は本物だ。
お前なら分かるだろ?」
「......そうですね」
わたくしはこの時、少しだけ、ほんの少しだけ、メイドがこの男に仕える理由が分かった気がしたんですの。