紅い血-Red blood-
奇妙な生活
「マリア様。
わたくしはマリア様にお仕えさせていただいている、リリです。
なんなりとお申し付け下さいませ」
わしが目を覚ました時にこう言われた。
そして、この屋敷の主とやらもわしに名乗ってきたのじゃ。
じゃが、わしは自分自身が分からぬのじゃ。
名前すらも分からぬのだから、名乗る事すらも、出来ぬのじゃ。
一体、わしは何者なんじゃろうか......。
「マリア様。
焦らないで下さい。
ゆっくりと記憶の事は考えれば良いのです」
リリはそう言った。
わしの分からぬ名前と共に。