女の隙間、男の作為
あの部屋にある不埒なアメニティがなくなってしまったら、あたしはどうするべきなのだろうか。
自分のものを買い足す?それとも通うのをやめる?
「あたしはやっぱりあんたのこと好きだとは思えないんだけど」
それなのにこんなことしてるのって笑える状況じゃない?
男はそれも全部わかっているとでも言いたげな顔であたしの肩を抱いて軽く引き寄せる。
「別にいいんだって。俺がその分カノのこと好きだし。
カノが笑いたければ思う存分笑っていいし、泣きたければ泣いてもいいよ。
俺はカノとつきあえなくてもいいし、誰にも口外できなくてもいい。
でもカノには誰ともつきあって欲しくないだけ」
“これ以上何も望まないから、好きなだけココでビール飲んでって”
こんな台詞を吐いてくれる男との関係を身体だけだと言いきれるものなのだろうか。
実際にやっていることはセフレと変わらないのに、何故かそれを認めきれない。
これはただの悪足掻き?
結城の言葉は本音?作為?
何が何だかわからないけれど、この男のやること為すことがすべてピッタリあたしの隙間に嵌ることだけは間違いない。
あたしは今夜も彼とことを為すだろうし来週も同じことをするだろう。