女の隙間、男の作為

『それで十分。それなら問題ないだろ』

“死ぬまでずっと安心してればいいじゃん”

なんでそうなるのよと言ってやりたいのに。
それでもやっぱりこんな状況でイエスと言えるわけもない。

『カノが結婚してくれないなら、実力行使するけどいいのか?』

ギラリと光る二つの瞳。
何だかとっても嫌な予感がします、神様。

『じ、実力行使って…』

“今から避妊せずにカノのこと抱いて、ガンガン中に出して俺の子孕ませるとか?”


今 す ぐ 死 ん で 来 い


結城は一度だってつけずにあたしを抱いたことはなかったのに。
だからこそ信頼していたのに。

この冗談はあまりにも悪趣味だ。
品もなければデリカシーもない最低部類。

『今すぐその手を離せ。脅迫してまで結婚しようとするな!』

『それくらい愛してるって言ってくれないとー』

“どっちがいい?妊娠して異動を辞めて俺と結婚するのと、とりあえず結婚してから異動するのと”

『どっちにしても結婚する選択じゃないのよ!こんなプロポーズがあるか!外道!』

足首を掴まれたままバタバタとソファの上で派手に暴れてみるけれど、それすら結城は楽しんでいるみたいだった。

『指輪用意して跪いて申し込んだほうがよかったのか?』

『アホか!そんな気味悪いことしたらワインボトルで殴るわ』

『それ普通に死んじゃうからやめてね』

『あんたもそんなアホなこと言うのやめてよね』

『俺は本気ですよ、カノちゃん』

“法律上だけでも俺のモノになって1年間は誰にも触らせないで。
もちろんココも俺以外は進入禁止だから”

言い聞かせるように“ココ”と指定している場所は言うまでもなく、あたしの中心部分。
とても未成年には聞かせられないし文字にするなんてとんでもない場所のことである。

(しかし男ってやつはなんてバカなんだろう)


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