女の隙間、男の作為
「カノ…」
「わーストップ。それ以上言うな!子どもはまだ作らないでって言ってたことは忘れてね。あんなのただのジョークだから。大丈夫大丈夫!瑞帆ひとりくらいいなくたって全然余裕だっての。あたしを誰だと思ってるのよ」
それが大嘘だってことは瑞帆だってわかっているだろう。
それでも瑞帆は何も言わない。
あたしが逆の立場でも彼女と同じ選択をすると思う。
親友が新しい人生に進もうとしている。
あたしだっていつまでも同じ場所で足踏みをしているわけにはいかないことにようやく気づいた。
「よし!もう一回カンパイするか。
マリアちゃーん!あたしに白ワインとあとブラッドオレンジジュースを追加で~」
その間に自分のiPhoneが着信を受けていたことにあたしはまったく気づかなかった。