シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・正体

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ヘリの中にいる"誰か"。


その正体を突き止めるべく、あたしは久遠と慎重に進んで行った。


静かに静かに…

歪んで開け放たれままのドアから、その内部に忍び入る。


暗いヘリの中、ちかちかと…赤く青く点滅しているは、機械の電灯。


そしてBGMのように大きくかかっているのはZodiacの曲。


何度も何度もS.S.Aで聴いた、蝶を誘うというテクノ調の曲。


今度はケロケロとした音調が強い、イグ・レン・ハン3人組のボーカル音が混ざっている。


あたしが好きだった頃の彼らの歌声の名残はなく、やけに冷たく感じる機械調の声だ。


音楽再生できるのを考えれば、どうやらヘリ内の機械には、墜落による損傷はないらしい。


何て丈夫な機械…もといヘリ。

さすがは青いマジック。


「!!!?」


機械の前に…大きな人影が見えた。


あれは…何?


敵?


ごくりとあたしは固唾を飲んだ。


「く、久遠…」


何だか恐ろしくて、久遠の手を握ろうとしたら払われてしまった。

仕方が無いから、久遠のふさふさを手でぎゅっと握りしめた。


ゆらりと、影が動く。


そして音が消えると同時に、

ぱっと黄色い照明がついたんだ。


僅かに細められた紅紫色の瞳。


「……は?」


およそ久遠らしくもない、間が抜けたような声が彼から漏れた時、"そいつ"がくるりとこちらを向いた。



「………!!!」



あたしの視界に入ったものは――


"そいつ"の正体は――


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