シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
聞き覚えがある、この声は…
「クマッッッ!!!?」
『がはははははは!!!
嬢ちゃん、あっちもこっちもモテモテだな!!!』
間違いない。
クマ男が生きていたんだ!!!
あの中に居るのはクマ男。
そう思って見てみれば…
「何でクラウン王子のふかふかな手足を突き破って、クマ男の"ふさふさ"した手足が出ているのよ~!!!」
元々腕まくりしていた腕はいいとしても、Gパンは落下の際にでもひっかけて破けたのか、左右不均等に裾が短くなっており…クマ男のふさふさな体毛が自己主張をしていて。
白いふかふかに黒いふさふさ…。
これは…異様だ。
「……ふぅっ。だから怪しいって何度も言ったじゃないか」
ぶつぶつ久遠が何か言っている。
『仕方ないだろう、この中で作業するにはこの王子さんの格好は窮屈すぎるから、手足を切らせてもらった』
ほれと促された先には、無残にも王子の足先端の残骸。
「やだやだやだッッッ!!! クラウン王子に何するの~ッッッ!!! あんた打ち首よ!!!」
王子に成り代わりクマを成敗しようとしたら、またもや久遠に手を引かれた。
結局…あたしと王子、もといクマ男の距離は縮まっていない。
「……誰?」
不機嫌そうな声に、久遠の顔を見上げてみれば…
「君はまた…男を連れ込んだのか?」
訳の判らないことを言い出した。
なんだか…短絡的な煌を思い出してしまうが、相手は聡明な久遠様。
あたしには考え至らぬ程の難しいことでも考えているのだろうか。