シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「どうして君の周りには、男ばっかりしかいないんだよ。外界の半分は女なんだろ? 此処に来たいのなら、女だけを連れてこいよ!!」
「久遠…そんな無茶苦茶な…。別に男だって…は!!! もしかして可愛い女の子を紹介して貰い「せり。怒るぞ!!」
もう怒ってるじゃないの、そんな殺気飛ばさないでよ。
「オレは、せりに紹介される程女には困ってもないし、飢えてもいない。今は女を抱くのにオレが飽きているだけだ!! このオレを馬鹿にするな」
威張り腐った上から目線。
凄いことを豪語して許されるのは、久遠くらいなものだ。
「じゃあ何で男を嫌『がはははは!!!』
あたしがそんな理不尽で可哀相な目に遭っているのに、クマ男は大笑い。
不機嫌そうなクラウン王子が、身を捩って豪快に笑う様は…異様だ。
もっとクールに行こうよ、王子様。
それじゃあただの怪物だよ。
『お前さんが…各務家当主の久遠か』
「………」
『白き稲…いや紫堂家の次期当主から色々聞いていた。KANANの宣伝部隊としてちょっくら協力させてもらっていた』
「………」
あたしは、つんつんと久遠の袖を引いた。
「ねえ…クマは悪い奴じゃないからさ、相手しようよ、少しぐらい」
ぷい、と横を向いてしまった。
『がははははは!!!』
クマ男は人事のように笑い続けるけれど。
本人けろりとしているのに、どうしてあたしがこんなに心配しているんだろう?
「自分の名を名乗らない奴に、返事をする義理はない」
久遠の口から冷たく言い放たれば、
『おお、そうだな!! 悪い悪い!!! 俺の名前は三沢玲央だ。元報道マン、今は無職のニート…ああ給料…』
そう言って、クラウン王子の姿で項垂れて落ち込んだ。
凄く哀愁漂っている。
王子も…苦労人だ。