シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
久遠と初めて会ったのは、あたしが湖に浮かぶ本を取ろうとして、溺れていたのを助けて貰った時だった。
吸い込まれそうな程に美しく輝くその瞳に魅入られ、あたしの世界は久遠しか居なくなってしまった。
久遠のあの瞳に、あたしの姿だけを映して貰いたかった。
幼心に――
彼こそがあたしの運命で永遠の相手だと、そう強く思ったんだ。
13年前と変わらぬ、美しい久遠。
13年前のまま、時を止めている久遠。
だけど――。
あの時とは違う久遠の瞳。
あの時よりも、炎の色を濃くした瞳。
とくとくとく…。
あたしの鼓動が、時間のように確りと刻まれていく。
止められたままだと思っていた時間が、早く動き出す。
とくとくとく…。
あの時のように、心が温かくなる。
とろりと…熱い何かが零れてくる。
とくとくとく…。
動き出す。
未来ではなく――
過去に戻っていく。
とくとくとく…。
その早さは…あの時と同じ。
悲劇をもたらしたあたしの初恋。
記憶と共に封じてしまった初恋。
あたしの初恋は禁忌のものだったから、だからあたしは久遠への心を閉じたままでいたんだ。
ホントウニソレダケ?