シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
とくとくとく…。
ねえ…久遠。
あの時の心がまた蘇生出来るというのなら。
久遠が好きで好きで仕方が無かった…あの頃の鼓動の早さが、また心に響いているのなら。
ねえ…。
今でも――
これは封じた方がいいのかな。
この心は…断ち切った方がいいのかな。
ねえ…久遠…。
失った時間は――
元に戻らないの?
とくとくとく…。
久遠は…違うの?
あたしだけ、なの?
あたしは…
おずおずと久遠の背中に手を回した。
判りづらい久遠の鼓動の音を、
それが伝える久遠の心を…
あたしは確かめてみたかった。
ぎゅっと、あたしは久遠に抱きついたんだ。
すると久遠の身体が震え――
「……。せり…」
掠れきった声が聞こえた。
「…取り違えるな。
それは…擬態。
吊り橋効果だ」
そう言うと、身体を離した。