シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「そして――」
赤いの瞳がゆらゆら揺れている。
炎のように揺らめいている。
久遠の奥底に秘めた、炎のような激情によって。
「"約束の地(カナン)"にいろ。
――永遠に」
激情故に掠れるその声に…
切なくなってしまいそうなその声色に…
「オレ以外を…切り捨てろ」
まるで共鳴したかのように…
「オレだけを見ていろ。
死が…訪れるまで」
心が痛くなる。
「それが出来るのなら…
――考えてもいい」
痛くて痛くて涙が零れ落ちてきた。
「考えてやってもいい」
是とも言えず否とも言えず…
あたしはただ、項垂れてぽろぽろと涙を流すばかりで。
感情が…言葉にならない。
心が…表現出来ない。
久遠の…切ないまでの真っ直ぐな視線に、あたしは…応えることが出来ずに。
あの時――。
久遠と死んで、永遠に一緒に居ようと思ったのに。
それは真実なのに。
今、何も応えることが出来ないのは何故?
久遠を置いて帰ってしまった、あの時のような罪悪感が、心に拡がるのは何故?