シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
・不安 玲Side
玲Side
****************
『玲くん。大好きだよ?』
君が僕の名を呼び破顔する度、僕の鼓動は愛しさに早まる。
君の瞳に僕が映る度、僕の鼓動は嬉しさに早まる。
鼓動の早さは僕の生命の証。
それは時に、発作のような苦しさを伴うものだけれど。
確りと僕の生を刻み打っている。
その早さは…その脈動は、周囲の思惑にただ流されてふらついていた僕を、"今この瞬間"に繋ぎ止める楔となった。
"今この瞬間"に見るのは…愛に溢れた幸福な夢。
もし僕の未来の先に、僕が望む幸福があるのなら。
僕の早い鼓動は、時間に変わらないだろうか。
少しでも早く未来に進まないだろうか。
この身を置くのは"今この瞬間"。
心が望むのは"進んだ未来"。
そして。
苦しくて切ない今の心を、
"過去"と出来たのなら。
1つの身体の中で起こる時間の齟齬がもどかしくて。
だけど時を告げる僕の鼓動は…ただ空回り、無情な時間を進めさせるだけ。
僕の生と引き替えに、進んだ未来には…僕の望む芹霞がいなかった。
『玲くん。大好きだよ?』
言葉ではなく、君の心を。
僕だけに向ける、君の想いを。
僕だけに見せる衝動を。
僕だけに向ける激情を。
ただひたすらそれを願い続ける僕に、芹霞は言った。
『玲くん…
あたし思い出しちゃったの』
それは恐れていた言葉。
僕を凍らせる、呪いのような言葉。
どくん、どくん…。
僕の鼓動は、決まった未来へと僕を連れる。
『"お試し"なんて…
意味なかったね』
どくん、どくん…。
ボーン、ボーン、ボーン。
僕の鼓動に誘われるように…
何処からか…鐘の音が聞こえた。
『時間切れだね』
それが嬉しいとでもいうように、
『夢見る時間はお仕舞いだよ?
魔法は…あたしには効かない』
弾けるような笑みを見せた芹霞は、
『GAME OVER』
残酷な言葉で終止符を打った。
どくん、どくん…。
僕を待ち受ける未来には…
君はいないと言うの?
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『玲くん。大好きだよ?』
君が僕の名を呼び破顔する度、僕の鼓動は愛しさに早まる。
君の瞳に僕が映る度、僕の鼓動は嬉しさに早まる。
鼓動の早さは僕の生命の証。
それは時に、発作のような苦しさを伴うものだけれど。
確りと僕の生を刻み打っている。
その早さは…その脈動は、周囲の思惑にただ流されてふらついていた僕を、"今この瞬間"に繋ぎ止める楔となった。
"今この瞬間"に見るのは…愛に溢れた幸福な夢。
もし僕の未来の先に、僕が望む幸福があるのなら。
僕の早い鼓動は、時間に変わらないだろうか。
少しでも早く未来に進まないだろうか。
この身を置くのは"今この瞬間"。
心が望むのは"進んだ未来"。
そして。
苦しくて切ない今の心を、
"過去"と出来たのなら。
1つの身体の中で起こる時間の齟齬がもどかしくて。
だけど時を告げる僕の鼓動は…ただ空回り、無情な時間を進めさせるだけ。
僕の生と引き替えに、進んだ未来には…僕の望む芹霞がいなかった。
『玲くん。大好きだよ?』
言葉ではなく、君の心を。
僕だけに向ける、君の想いを。
僕だけに見せる衝動を。
僕だけに向ける激情を。
ただひたすらそれを願い続ける僕に、芹霞は言った。
『玲くん…
あたし思い出しちゃったの』
それは恐れていた言葉。
僕を凍らせる、呪いのような言葉。
どくん、どくん…。
僕の鼓動は、決まった未来へと僕を連れる。
『"お試し"なんて…
意味なかったね』
どくん、どくん…。
ボーン、ボーン、ボーン。
僕の鼓動に誘われるように…
何処からか…鐘の音が聞こえた。
『時間切れだね』
それが嬉しいとでもいうように、
『夢見る時間はお仕舞いだよ?
魔法は…あたしには効かない』
弾けるような笑みを見せた芹霞は、
『GAME OVER』
残酷な言葉で終止符を打った。
どくん、どくん…。
僕を待ち受ける未来には…
君はいないと言うの?