シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 


違う!!!

僕は、櫂の代理じゃない!!!


真実、僕の心だ!!!


僕はぶんぶんと首を横に振り続ける。


『……。俺を裏切る気でいたのか?』


櫂の顔が哀しげに曇る。


ゆっくりとゆっくりと…。

深みある玲瓏な声は…僕の心を抉って。


罪悪感。


それだけを掻き乱していく。


『何も無かった顔で、俺の元に来ようとしたのか?』


言葉は…言刃。


ぎりぎりと、僕の胸が…僕の心が抉られて。



『偽善者』


芹霞が言った。


『あたしの心を知っていたくせに、何の了解も得ずに勝手に大事な想いを消して…何優しくていい人演じていたのよ』


痛い…。



――レイ…。


『最悪。誰が玲くんみたいな"異常者"を好きになるって?

自惚れないで!!』



痛いよ…。



――レイ…。



『お前は…俺を超える自信でもあったのか?』



心が痛い…。



――ワタシノカワイイレイ…。



『『この気狂い!!!』』



――カエッテオイデ…。


痛いんだ!!!



芹霞と櫂は手を絡ませあい、愛を囁き合っている。


僕は此処にいるというのに。

僕はこんなに好きだというのに。


芹霞の眼差しに映るのは櫂の姿だけ。

芹霞の服を脱がす櫂の手首。


勝ち誇ったように布がひらひらと揺れた。


やめろ。


『櫂……愛してる』


やめろ。



『ああ…芹霞。俺達は…永遠だ』



やめろ!!!!


1つとなり永遠を体現していく2人に――

僕は音が出ない声で絶叫して…

身体を掻き毟った。



嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!


こんなの嫌だ!!!


やめろ、やめてくれ!!!!
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