シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
反転。
気づけば僕は…
深淵の谷にかかった…細い板の真ん中にいた。
鈍色の空。
谷からはひゅうひゅうと…泣き声のような風の音が聞こえる。
夢?
あれは夢だったのか?
じゃあ僕は何でこんな処に…?
…違う。
夢じゃない。
前方の終着点には、睦み合う2人の姿。
聞こえてくる2人の嬌声。
後方には…
――レイ…。
母親の残像。
行くか…戻るか。
その岐路に僕は居て。
下は…底が見えぬ暗闇。
落ちたら這い上れない…暗黒世界。
「紫堂玲…」
目の前に、久遠が立っていた。
何処までも…僕対しては揺るがない、瑠璃色の瞳。
「オレは…せりに真実愛された。
せりの"初恋"はオレだけだ」
久遠の嘲笑。