シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「ボクが、海に浮かぶ"死体"から解いて、同じ顔してる凜の手首に巻いたって言ったら、納得してくれたんだ。いや…もう冷や冷やして…」
「何だって!!!?」
僕は声を荒げた。
「由香ちゃん自身が、死体から布を取って凜につけたと、そう久涅に言ったの!!!?」
「え…うん」
僕は舌打ちして、壁に拳を打ち付けた。
「ど、どうしたんだよ。久涅は納得したんだぞ、それで」
「するはずないよ…」
僕は言った。
「海に上がった櫂の死体の手首には、布がついていたんだから」
「え!!!?」
「死体は半腐乱。決め手は…服装と手首にその布が巻き付いていたことだった」
「は!!!?」
「そして、その死体の確認現場には、僕と当主以外に…久涅も居たんだ。
死体は布をつけたまま火葬にされた。
久涅は確認してる。布の存在を」
「!!!!!?」
由香ちゃんは真っ青になり、蓮もおろおろ始めて。
「誰が死体を用意したのか判らない。だけど…久涅は判っている」
僕の声が震えた。
「凜が…櫂だと言うことに」
「どえええええ!!!?」
「やはり…そうか。久遠様が懸念されていた通り。だから久遠様は、凛と共の行動をされて守られていたのだが…。行動を別にされた今、凛は大丈夫だろうか」
両者は反対の態度を示す。
だから僕は――
「"免疫"プログラムを完成し、早急に放つ!!!」
その場でコード変換を続行した。
櫂の生存を確認した久涅が、その行動の果てに"虚数"をもたらしたというのなら。
それは櫂にとって命取りの危険になるのは間違いない。
まず虚数の対策を!!!
――約束、して欲しいんだ。
もう僕は、あんなことは許さない。
――紫堂櫂を愛してる!!!
僕は…唇を噛み締め、コード変換を急いだ。