シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
"約束の地(カナン)"において、玲と煌の協力で、魔方陣10個の同時破壊をした時を思い出した。
あの時、煌の力によって強められた俺の闇の力は…地下から魔方陣を突き破った。
あの感覚。
地面の深層部分により、元々存在していた"何か"が元の形状を取り戻すように。
ゴオオオオオ。
それは外郭を維持したまま、威圧的存在感を放ち、空へと伸びゆく。
ああ、あれは!!!
黒い――
あれは"深淵(ビュトス)"の塔!!!?
俺達が、五皇2人がかりの協力を得て、ようやく破壊したあの塔が、また蘇ったというのか!!?
「くそッッッ!!!!」
激怒している久涅は、やがて冷たい眼差しを俺に向けた。
「久遠を…守れ」
久遠…を?
それだけを言うと、久涅は走り去った。
塔に向かって。
俺は何だか釈然としない心地になりながら、とりあえず久遠と合流しようと歩いていた。
地震の影響で木々が崩れ落ち、それを潜りながら歩いていたその先に、
「探し出したか、
――凜…」
そんな久遠の声が聞こえ――
そして出会えたんだ。
芹霞と。